十勝で栽培されている小麦たち

十勝は日本一の小麦産地ですが、その中でも様々な品種の小麦が栽培されています。ここでは、十勝で主に栽培されている小麦品種を紹介します。

ホクシン

 ホクシンは、平成6年に品種として採用され、平成7年より本格栽培が始まりました。それまでの主力品種であったチホクコムギに比べ、雪耐性・うどんこ病抵抗性・穂発芽耐性に優れ、またチホクコムギと比較して1割程度多収であったことなどから、日本で一番作られる品種となりました。
 中力系で、主にうどん用小麦として使われていますが、フランスパンとも相性が良いです。
 現在は、後継品種「きたほなみ」への移行が進んでおり、作付は大きく減少する予定です。

ホクシン

キタノカオリ

 キタノカオリは、強力系の秋まき小麦です。赤さび病、うどんこ病抵抗性、耐倒伏性に優れる一方、穂発芽しやすく、収量がホクシンなどに比べやや劣るといった欠点もあり、作付面積は少なくなっています。
 小麦粉にすると黄色みがかっており、甘みがあり、製パン性にも優れていることから、実需者を中心に高い評価を受けています。

キタノカオリ

春よ恋

 春よ恋は、強力系の春まき小麦です。国産のパン・麺用小麦として高い支持を得たハルユタカの後継品種で、ハルユタカに比べ多収、うどんこ病及び赤かび病抵抗性があります。しかし、春まき小麦は秋まき小麦に比べて収量及び栽培のしやすさに劣るところがあり、作付面積はやや少なくなっています。低アミロ小麦になりにくく、製パン性が優れていることから、実需者からは高い評価を受けています。

春よ恋

はるきらり

 はるきらりは、春よ恋の後継品種として期待されている春まき小麦です。春よ恋に比べ穂発芽耐性があり、赤かび病発生時のDON汚染が少ない品種です。平成20年度より十勝農業改良普及センター及び十勝農業試験場が実施する「とかち春まき小麦導入プロジェクト」において栽培試験及び加工適性試験を行っており、これからの普及拡大が期待されています。

はるきらり

きたほなみ

 きたほなみは、ホクシンの後継品種となる中力系の秋まき小麦です。ホクシンに比べて製粉性、めん色が優れており、うどん用小麦として非常に期待されています。また、ホクシンより約2割多い収量、耐穂発芽性など、生産者からも高い評価を受けています。

きたほなみ

ゆめちから

 ゆめちからは、これまでにない「超強力系」の秋まき小麦です。ホクシンやきたほなみなど、中力系の小麦とブレンドすることにより、パンや麺類など様々な用途に利用することができ、国産小麦の用途・消費拡大に寄与することが期待されています。また、近年感染が広がっている小麦縞萎縮病に対する耐性があり、感染地域でも栽培できる小麦品種として期待されています。

ゆめちから

小麦品種の詳細情報

独立行政法人 中央農場試験場

- http://www.agri.hro.or.jp/chuo/kaihatsu/hatasaku/hata2/wheat5.htm

北海道農業研究センター

- http://cryo.naro.affrc.go.jp/touroku/hinshu/index.html

北海道の小麦栽培の歴史「北海道小麦今昔物語」

- http://ikgw.cool.ne.jp/wheat.html

各小麦の特徴一覧

ホクシン キタノカオリ 春よ恋 はるきらり きたほなみ ゆめちから
品質 中力 強力 強力 強力 中力 超強力
栽培型 秋まき 秋まき 春まき 春まき 秋まき 秋まき
耐雪性 やや強 やや強
赤さび病抵抗性 やや弱 やや強 やや強 やや強
うどんこ病抵抗性 やや強 やや強 やや強
赤かび病抵抗性 やや弱
縞萎縮病抵抗性
耐倒伏性 やや強
穂発芽性 やや易 やや難 やや難
子実重
(kg/10a)
631 609 498 510 744 605

用語解説

うどんこ病 葉や茎がうどん粉をかけたように白くなる病気で、生育不良の原因となります。高温で湿度が低く、特に風通しの悪い場所で発生しやすくなります。
穂発芽 小麦の収穫前に雨が降ることで、穂の中にある小麦が発芽してしまう現象です。発芽が始まると、発芽のための栄養として粒の中に蓄えられている栄養素(デンプン)が使われてしまうことから、粉にしたときの品質が大きく低下してしまいます。
赤さび病 小麦の葉などに発生します。はじめは葉の表面に赤褐色の模様(夏胞子堆)があらわれ、これが成熟すると中から胞子が発生し、病気を拡大します。高温多照の時に多発し、感染すると葉や茎が枯れてしまいます。
倒伏 麦穂が雨や風などによって倒れてしまうことです。穂が倒れてしまうと、麦の実ができない、品質の悪化、収穫作業が困難になるなどの影響があります。小麦の品種によっても、倒伏しやすいもの、しにくいものがあります。
小麦縞萎縮病 土壌感染するウイルス性の病気で、感染すると葉茎に黄緑色の細長いかすり状の斑点が現れ、次第に拡大していきます。生育不良で草丈が低く、穂数、粒重量が減少し、品質悪化の原因となります。一度発生してしまうと対策方法がなく、また長期にわたり無病化しないため、病気に抵抗性のある品種を栽培し、また他の畑に感染しないよう気をつける必要があります。
赤かび病 かびによる病気で、主に穂に発生します。穂軸がかびに感染し、穂が枯死したり、穂の首部分が感染して白穂になったりすることもあります。実に感染したものを食用・飼料にすると、中毒症状を起こす事があるため、注意が必要です。曇天・小雨が続き、温度が高いと発生しやすくなります。
低アミロ小麦 小麦デンプンの粘性を表すアミログラム最高粘度が極端に低下した小麦を指します。低アミロ小麦になると、強力系小麦でもパンがうまく膨らまないなど、品質に大きな影響を及ぼします。低温・多湿の場合に多く発生します。
DON かび毒の「デオキシニバレノール」の略語です。DONが含まれている食品を食べると健康被害を引き起こす可能性があります。赤かび病が発生した小麦の場合、特に注意する必要があります。

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